ゼンデイヤやマーゴット・ロビーといったスターたちが、大予算のプレスツアーをまるで自分のランウェイのように扱う今、授賞式はハイファッションの場としての輝きを失いつつあるのではないだろうか。
2024年のアカデミー賞レッドカーペット、ちょっと退屈だったと思いませんか？
もちろん、ハイライトもありました。アニャ・テイラー・ジョイはディオールに身を包み、ダヴィーン・ジョイ・ランドルフはルイ・ヴィトンのゴージャスとエレガンスの狭間を完璧に表現。そしてケリー・マリガンは、おそらく当夜最高に洗練されていたでしょう。しかし、残念ですが残りは少しがっかりさせられました。マーゴット・ロビーが黒？大失敗です。大失敗！超大失敗！スタイリストたちは自分たちも飽きていたのか、なんとペプラムが復活してしまいました。美しくもありましたが、ゼンデイヤでさえ2022年と比べて無難な装いでした。
一体何が起きているのでしょうか？スターたちのスタイリストが怠慢になった？アカデミー賞のレッドカーペットが単に退屈になった？それとも単に先を越されているだけ？
考えてみてください。長年にわたり、授賞式はセレブとオートクチュールが出会う唯一の場でした（メットガラを除く、もちろん。ですがそれは後ほど）。人々は（つまり私と母ですが）セレブのドレスとタキシードを見るために、授賞式の最大2時間前までチャンネルを合わせていました。なぜなら、見逃せば二度と見れないからです。インスタグラムで「Check The Tag」もなかったし、グウィネスのドレスを見逃せば、次の日みんなの「誰が最高に素敵だった？」ゲームで後悔することになるでしょう。
SNSのおかげで、レッドカーペットの報道はかつてないほど過熱しています。スターたちは、映画プレミア、アルバム発売、ギャラリーオープニング、そしてカーダシアン家なら家族の集まりまで、あらゆるイベントで最高の装いを披露することが求められています。服がバイラルになることは偶然ではなく、もはや必須条件なのです。
セレブたちはもう、最高の服をアカデミー賞のために取っておくことができなくなりました。我慢なんてできません！権威あるレッドカーペットが開催される頃には、ほとんどの俳優たちはすでに数十着の服を着て最新プロジェクトを宣伝したり、ただ街で注目を集めたりしています。誰もがソーシャルメディアのバズを狙っているのです。そして、話題のオートクチュールショーの最高の服を最初に着なければ、誰かが着てしまいます。2024年のヴァニティ・フェア・オスカー・アフターパーティでのケンダル・ジェナーと、ベルリン・バベルのプレミアでのハンター・シャファーを思い出してください。どちらも1月にデビューした、話題のメゾン マルジェラ 2024年春夏オートクチュールコレクションのドレスを着ていましたが、シャファーの方が先でした。結局、誰もがそれを覚えています。
バービー映画のプレスツアー、ビヨンセのルネサンス・ツアー、テイラー・スウィフトのエラス・ツアー、そして最近ではデューン: パート2など、1年間でこれだけのイベントをこなすにはどうすればいいのでしょうか？ロビーのバービーのコスプレは、なんとコーヒーテーブルブックになりました。クイーン・ビーとテイ・テイは、一手にラインストーン業界を復活させました。そして、ゼンデイヤとロー・ローチが作り出す宣伝効果には、お金を払っても買えません。だって、ミュグレーの鎧の様なスーツですよ？アカデミー賞で無難な服装にしたのも納得です。彼女はファッション的に疲弊しているに違いありません。
となると、5月のメットガラはどうなるのでしょうか？人々の反応が興味深いです。かつては、他のどのイベントもメットガラのOTT（オーバー・ザ・トップ）な演劇性に並ぶことはできませんでしたが、他のレッドカーペットのレベルが上がり続けている中、アンナ・ウィンターのパーティは同じくらいインパクトを与えられるでしょうか？答えは時間だけが教えてくれます。
その間、私たちはおそらく、アカデミー賞のレッドカーペットに置く重みを再考する必要があるかもしれません。もちろん、豪華なボールガウンやジェームズ・ボンド風のタキシードを見るのはいつだって楽しいものです。しかし、真のセレブファッションの戦いは、別の舞台で繰り広げられているのです。いくら良いものでも、やりすぎは逆効果ですよね。